田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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第383回田辺寄席
06年1月22日(日)午後1時10分開演
(新・じっくりたっぷりの会
          ―笑福亭達瓶の段)


一、寿限無    桂 まめだ(文福門下)
 最近は小学生の間で寿限無の名前がとても知られており、名前をそらんじている子供が珍しくない。『声に出してよみたい日本語』から派生したテレビ番組「にほんごであそぼ」で取り上げられたのがきっかけらしい。それなら名前の部分しか知らないのではと思いきや、落語絵本など子供向けの落語本が何種類か出ていて、ストーリーを知っている子も多いので驚きだ。初席の幕開きにふさわしい、おめでたい一席。

二、親子酒    笑福亭 達瓶(鶴瓶門下)
 縄文人は酒に強く弥生人は弱いと言われているのをヒントに、酒の強さに関わる遺伝子の多・少を研究した学者がいる。割合が高いほうが酒飲みになる確率も上がるのだが、酒に強い遺伝子タイプを持つ人の割合が高い都道府県は秋田、鹿児島、岩手がベスト3。上位には北海道と東北、九州が多く、中部や近畿は少ない。割合が最も低いのは三重県だった。この噺の息子が酒飲みなのも、やはり遺伝のせいか。

三、加賀見山 立花家千橘(五郎兵衛門下)
 歌舞伎『加賀見山旧(こきょうの)錦絵』の発端部分にあたる花見の場をしっかり見せる、いわば正調芝居噺。この芝居は憎たらしいお局・岩藤が善良な中老・尾上を打ち据える「草履打ち」の場面が有名。「女忠臣蔵」とも言われる、女性どうしの確執を描いた仇討ち話である。最後は正義が勝つということもあり、江戸時代は御殿女中にたいへん支持され、宿下がり時期の3月によく上演された人気狂言だった。

中入り

四、ズバリ当てま賞〜「さ」の三十七番
       桂 文太(五代目文枝門下)
先月「あ」の回では、文太師匠による東京移入ネタの『明烏』の口演。予想投票も一番人気だった。内容からは、なぜこんな演題なのかが分かりにくいが、『明烏夢泡雪』という芝居の主役である浦里と時次郎という名を取っているところから来ている。今月は何が出ますか。
a、『鷺とり』手っ取り早く鳥を捕まえて金儲けしようとたくらみ、夜陰に乗じてキタは円頓寺内の池へ忍び込むが。/b、『猿後家』気にしている人の前で、気にしていることを言ってはいけないという教訓を得る噺。後家さんへの禁句とは。/c、『三十石夢の通路』大河落語・東の旅の最終章。京の伏見から夜船で天満の八軒屋まで下る道中を描く。/d、その他

五、茶目八    笑福亭達瓶(鶴瓶門下)
 今は「お茶目」という言葉のほうが一般的だが、基本形は「茶目」。国語辞典では「無邪気な面白いいたずらをすること。子供っぽくふざけて人を笑わせるさま」などと説明されている。江戸川乱歩の『盲獣』にも「あの茶目さんは…随分あくどいいたずらを」という用例があるらしい。「茶目っ気」はここから来ているし、そんな人をさす言葉に昔は「茶目公」「茶目吉」などもあったようだ。この噺では幇間の愛称に。


紹介文執筆…中川 桂



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