田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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第386回田辺寄席
06年4月16日(日)午後1時10分開演
〈新・じっくりたっぷりの会―笑福亭純瓶の段〉
※ 田辺寄席「会員制スタート」



一、子ほめ   林家 卯三郎(染丸門下)
 まだ小さい頃から、将来の大成を感じさせる…ということわざとしてこの噺にも出てくる「蛇は寸にしてその気を顕す」。蛇はほんの小さい頃からも、人を飲むような気迫を感じさせるとの意味だが、「栴檀は二葉より芳し」と並んで出てくるように、同様のことわざはかなりある。「牛を喰らうの気あり」は主語が省かれているが、虎や豹は幼獣の頃から…の意味。「竜は一寸にして昇天の気あり」というのもある。


二、いらち俥  笑福亭 純瓶(鶴瓶門下)
 JR尼崎駅付近の脱線事故から、間もなく一年を迎える。事故後に知られるところとなったが、昨年のJR西日本のモットーは「儲ける」。さすがに今年は「安全を最優先し…」といったふうに改められた。今春から各線のダイヤも見直され、事故前よりは所要時間が少し増えたが、安全性が高まるのなら怒る乗客はいないだろう。遅くても安全をとるか、それともスピード第一か…その両極端な葛藤がこの落語にも。


三、胴乱の幸助 桂雀松(二代目枝雀門下)
 本日の、「タダで酒を飲もう」と画策する話の第二弾。子どもをほめて一杯もらうという平和的手法とは対照的に、喧嘩によって酒をせしめようとするのだが、暴力的略奪ではない。そんな計画が持ち上がったのも、なんの楽しみもない、芝居や浄瑠璃をまるで知らないおやっさんが通ったため。有名な芝居の筋をほとんどの人が知っていて、多くの素人浄瑠璃語りがいた時代だからこそ生まれた一席である。

中入り

四、ズバリ当てま賞〜「め」の四十番
       桂 文太(五代目文枝門下)
前回は「ゆ」の演題予想だったが、『夢の革財布』が僅差で一位、続いて二番人気が『遊山船』。演じられたのは『遊山船』だった。さすがに三ヵ月連続で「その他」のネタということはなかったようで。今月の「め」も、ネタは限りがありそうなので絞りやすいか。
a、『目良のさいら』目良は紀州の地名、さいらは関西の言葉で「秋刀魚(さんま)」のこと。/b、『眼鏡屋盗人』三人組の泥棒を、利発な丁稚さんがどんな手で撃退するのか。/c、『目薬』少々頼りない亭主、目薬の使用上の注意を一文字間違えてしまう。/d、その他


五、夢八    笑福亭 純瓶(鶴瓶門下)
 ひと口に伊勢音頭といっても、その発祥についてはいくつかの説があり、歌も大きく分けて二系統あるようだ。伊勢神宮近くの遊郭での総踊り歌として発達したものと、道中唄系統のものである。伊勢参りの旅人や願人坊主によって広められたが、とくに寛政五年(一七九三)には大いに流行したという。落語でも、改めて考えると『東の旅』シリーズは言うに及ばず様々な噺に登場するが、この噺ではどこに。


紹介文執筆…中川 桂



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