田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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長月席
399回9月16日(土)昼席

祝・天満天神繁昌亭開席・いちもん会 


一,ちりとてちん  桂 福矢(福団治門下)
 観光ガイドを見ると、現代の長崎の名物にはちゃんぽん、皿うどん、カステラなどとともに茶碗蒸しも挙がっている。腐った豆腐はない。

二、無いもん買い 桂 文太(五代目文枝門下)
 古手とは、『大阪ことば事典』によると「古物。中でも、特に古着のことをいう」。そもそもは古着とは限らず、家具や調度など、古道具も含めての呼び方だったようだが、次第に対象が絞られたのだろうか。

三、昭和任侠伝  桂 一蝶(二代目春蝶門下)
 やくざ映画が全盛だった時代に故・春蝶さんが作った一席で、一門のお弟子さんを中心に受け継がれている。その春蝶の名跡が来年にも復活する。忘れ形見の春菜さんが襲名する予定。

中入り

四、狸の鯉      桂 春雨(春団治門下)
上方では『狸の賽』が演じられることが多いが、こちらは東京で盛んに出る噺。常に恩返しを心掛けているあたり、落語の中のタヌキは実に人間?ができている。前半だけで切る場合は『狸の札』と題されることもある。

五、天狗裁き     桂 春若(春団治門下)
 昨日15日、上方落語の定席・天満天神繁昌亭が正式オープンした。上方落語界長年の悲願がついに実現。たが、末永く続けるには噺家さんの努力だけでなく、運営の熱意や工夫、興業会社との共存など課題も多い。「一睡の夢」で終わらぬよう我々も見守りたいものです。


長月席
400回9月16日(土)夜席

祝・天満天神繁昌亭開席・田辺寄席400回公演 


一、口上  南鱗・文福・春之輔(司会・文太)

二、平林      桂 壱之輔(春之輔門下)
 第三〇一回、壱之輔さん田辺寄席初登場の時演じたのが『平林』。そしてまた巡ってきた節目の第四〇〇回、より練り上げられた『平林』が。

三、七段目   桂 文太(五代目文枝門下)
 祇園・一力茶屋のかつての名称は「万亭」だったといわれる。「万」を分解すると一力に見える…ということで芝居では一力の仮称が使われたが、芝居が大当たりしてそちらの名前に変わったとか。現在は祇園町の南側に「一力亭」という重厚な構えの料亭がある。ただし行ったことはないので詳細は不明です。

四、大岡政談から五貫裁き
      旭堂 南左衛門(南左衛門一門)
 大岡越前守が活躍するお裁き物。返済のさせ方に名奉行の卓越した知恵が。東京の落語では『一文惜しみ』の演題で口演される。

中入り

五、女道楽    内海 英華(カッパ門下)
第三六七回の三十周年記念公演以来、二年ぶりの登場。伝統の音曲と、時事漫談の組み合わせが楽しい。

六、死ぬなら今   桂 春之輔(春之輔一門)
 相変わらず殺伐とした事件の多い昨今。親が子を殺し子が親を殺し、飲酒運転による事故は後を絶たず…。この世で悪事を働くと、死後は地獄に落ちて苦しむぞ、という戒めをもっと復活させんとあきませんな。


長月席
401回9月17日(日)昼席

祝・天満天神繁昌亭開席・いちもん会 


一、兵庫船      桂 都んぼ(都丸門下)
 兵庫の港はその昔、平清盛が大輪田の泊を築いた場所。現在は平清盛像などが建つが、江戸時代に旅人が行き来した名残は見られない。

二、〔新シリーズ〕四〇一号笑呆亭・いらちの愛宕詣り
             桂 文太(五代目文枝門下)
 今回から始まる新企画。タイトルは「小法廷」のもじりとご理解ください。陪審員になったつもりで落語国の事件を裁くと…。一回目は、いらちの男の、愛宕さんでの行動から。

三、猫の忠信   桂 九雀(二代目枝雀門下)
 芝居『義経千本桜』のパロディ。人形浄瑠璃として初演後すぐ人気となり、間もなく歌舞伎化されて以来上演も多い名作だが、舞台が浄瑠璃の稽古屋になっている点、この噺は原作の浄瑠璃への敬意が強いようにも感じられる。

中入り

四、阿弥陀池   桂 あさ吉(初代吉朝門下)
堀江の池中から仏像が出現、それが信州善光寺のご本尊になる、という伝説はやはり眉唾物のようだ。実際の和光寺は江戸時代の創建。

五、佐々木裁き     桂 米輔(米朝門下)
 今席から裁判にまつわる新シリーズが登場するのにあわせて、今月は三公演ともに落語や講談のお裁き物が登場。講談をはじめテレビ時代劇でも有名な大岡越前や遠山の金さんに比べれば、実在の人物とはいえ佐々木信濃守の知名度は低く、この噺でも名判決をしたわけではない。しかし上方落語での知名度なら筆頭格だ。


紹介文執筆…中川 桂



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