田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
演題紹介トップページへ



神無月席
第402回10月14日(土)昼席
《いちもん会》


一、ホスピタル   笑福亭 たま(福笑門下)
 病院を舞台にした、自作の新作落語。怪談がかった箇所など、まさに緊張と緩和の笑い。

二、八五郎坊主   笑福亭 喬楽(松喬門下)
 お寺も個性化の時代、いろいろ独自色を出している今日だが、会場に程近い田辺の不動尊・法楽寺には、日本画の展覧を中心にした小坂奇石記念館がある。今月は障壁画展を開催中。

三、四〇二号笑呆亭…「幾代餅」から
           桂 文太(五代目文枝門下)
 江戸落語を文太師匠が移入した一席。錦絵で見た絶世の美女・幾代太夫に恋煩い…というのは、今でいえばテレビで見た人気絶頂の女優やアイドルに一目惚れ、という感じか。

中入り

四、替り目     笑福亭 仁嬌(仁鶴門下)
飲酒運転による事故がなくならない。罰則が強化され、飲食店の意識も以前よりは高まっているようだが…。自分だけならともかく、罪のない人を巻き込んで惨事を引き起こす危険を認識してほしい。飲んだら運転はせずにぜひタクシーを。家の前から乗ってはいけませんが。

五、居候講釈
  笑福亭 鶴志(六代目松鶴門下)
 長らく途絶えており、桂雀三郎師匠が25年以上も前に復活させてたまに演じていた。近年また聴く機会がなくなっていたが、鶴志さんが速記本を基に、どんな工夫を交えて21世紀のお客さんに聴かせてくれるのか楽しみだ。


神無月席
第403回10月14日(土)夜席
《いちもん会》

一、看板のピン   林家 染左(染丸門下)
 「ピン」はポルトガル語の「ピンタ」から来ており、本来は「点」の意味。これがサイコロの「一」の形とも合い、隠語として使われた。

二、餅屋問答    林家 染弥(染丸門下)
 もうす・ほっす…と聞いてもすぐに漢字が浮かばないが、それぞれ「帽子」「払子」と書く。帽子は禅宗で僧がかぶる頭巾の一つ、払子は獣の毛や麻などを束ねて柄をつけたもので、のちにはこの法具が説法の象徴となった。

三、四〇三号笑呆亭…「ろくろっ首」から
          桂 文太(五代目文枝門下)
 幕末には上方で演じられていたらしい記録が残るが、サゲ(落ち)が今のものとは違っている。現行の東京のサゲも若干違う。現行上方落語のサゲが、最もシンプルで分かりやすい。

中入り

四、〔浪曲〕祐天吉松  菊地 まどか(小圓嬢門下)
(曲師・一風亭初月)
地元在住、期待の若手女流浪曲師が登場。祐天吉松は元スリ。嫁を持ったのをきっかけに、足を洗って堅気になるが。

五、御神酒徳利   林家 染雀(染丸門下)
 元は上方種とも言われるが、江戸落語として有名になった噺。東京式では大別して六代目円生、三代目三木助、五代目小さん各師の型があり(円生と三木助は筋はほぼ同じ)、サゲもそれぞれ違っていた。本日の染雀さんのサゲは。


神無月席 
第404回10月15日(日)昼席
《いちもん会》


一、鯛        桂 三ノ助(三枝門下)
 生け簀で泳ぐ鯛たちの会話に、耳を傾けてみると…。三枝師匠の作品で、お弟子さんだけでなく今では他の一門の落語家も演じている。

二、二人癖       桂 珍念(文珍門下)
同じく癖を扱った落語に『四人癖』があるが、そちらは仕草による癖、この噺は口癖という違いがある。どちらも癖を直すために、出てしまったら罰金、と定めるところは同じ発想。

三、四〇四号笑呆亭…「八度狸金玉仇討」から
         桂 文太(五代目文枝門下)
 文太師匠が20年ほど前に自作した「旅ネタ」、説明するまでもなく『七度狐』に対抗した一席。喜六・清八が狸をだまし返そうとして、さらに裏をかかれたりするので、しまいに何がホンマなのか分からなくなってきてしまう。

中入り

四、京の茶漬   桂 文昇(五代目文枝門下)
年間通じて観光客の多い京都ではあるが、やはり気候のよい春・秋の集客力は格別。毎年10月22日に行われる時代祭が今年は日曜に当たり、更に人出が増えそうだ。それはそうと、考えたらこれも口癖を扱った噺ですな。

五、堀川       桂 枝三郎(三枝門下)
 こちらも元来は京都ゆかりの一席。文楽・歌舞伎で演じられる『近頃河原の達引』、京都堀川の与次郎宅での猿回しの場面が有名で、芝居の通称が堀川。それをもじった与次兵衛さんによる猿回しが出てくるところからのタイトル。


紹介文執筆…中川 桂



© 2002〜 田辺寄席世話人会