田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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霜月席
第405回11月18日(土)昼席
だいたいいちもん会


一、浮世根問     森乃 石松(福郎門下)
 根元から枝葉まで、何もかも問いただす意味の「根掘り葉掘り問う」。この別の言い方が「根問い葉問い」で、江戸時代からある言葉。

二、淀川       桂 丸福(福団治門下)
 せっかくの信仰心も、本質を理解せず行動するだけでは…というネタなのだろうか、それとも単なるナンセンス噺か。東京の「後生鰻」。

三、四〇五号笑呆亭…『初天神』から
        桂 文太(五代目文枝門下)
 天満天神繁昌亭がオープンしてから初めての新春が近づく。オープン以来、昼席は大入りが続く繁昌亭と、初詣客で賑わう天神さんとが一体になると、どんな雰囲気になるのだろう。

中入り

四、笠碁       桂 福楽(福団治門下)
 団塊の世代の大量退職が始まるという「07年問題」。少し上の世代よりは、この世代のほうが趣味や地域活動など楽しみを見つけて充実した定年後を送るだろうと見られている。この噺のご隠居のように囲碁をたしなむのもよし、また落語なんかも結構なのでは。

五、日本の奇祭  桂 小春団治(春団治門下)
 日本全国、奇怪な祭も数多いが、寄席や落語に関係のあるものといえば「笑い講」や「笑い祭」だろうか。関西では和歌山県日高川町の丹生神社で、毎年10月の第二日曜ごろに笑い祭が行われている。なんとも珍妙なメイクと衣装の道化役が出てきて笑いを強要する奇祭だ。


霜月席
第406回11月18日(土)夜席
いちもん会

一、天狗刺し    笑福亭 松五(松枝門下)
 鞍馬寺から山頂を挟んで逆側に僧正ガ谷があり、不動堂や義経堂などの建物がある。大杉の痕跡も残っていてこの落語を髣髴とさせる。

二、向う付け    笑福亭 右喬(松喬門下)
 高校や中学での必修科目の履修漏れが問題に。受験に必要のない科目を切り捨てたのが原因のようだが、ゆとり教育による授業減に同情する声も聞かれる。最低限の読み書き能力だけは身に着けておいてほしいものだ。

三、四〇六号笑呆亭…『二十四孝』から
        桂 文太(五代目文枝門下)
 二十四孝は中国の孝行者二十四人を紹介したものだが、これをもじって井原西鶴が『本朝二十不孝』を書いており、この中に石川五右衛門が釜煎りの際、子どもを足に敷いた逸話がある。

中入り

四、紙入れ 笑福亭 岐代松(六代目松鶴門下)
 「町内で知らぬは亭主ばかりなり」「間男は亭主のほうが先に惚れ」…。マクラでもよく使われるが、物事を斜めから皮肉に見るという点で、川柳と落語は相性がよいのだろう。

五、鉄拐      笑福亭 仁勇(仁鶴門下)
 「拐」(かい)の字は本来は「枴」で、杖の意味。ある日、この仙人が鉄の杖を空に投げたところ竜に変わり、それに乗って去ったので「鉄枴仙人」と名付けられたという伝説による。李白と陶淵明はどちらも酒豪の詩人だが、時代はまるで合わない。まあそこは落語ですから。


霜月席
第4075回11月19日(日)昼席
いちもん会

一、米揚げ笊   桂 吉の丞(初代吉朝門下)
 今はスーパーやコンビニで一日中何でも買えるから便利というが、昔は向こうから何でも売りにきてくれるからもっと便利…とは、東京で物売りの声を演じる芸人の言葉。たしかに。

二、軽石屁      桂 雀喜(雀三郎門下)
『東の旅』シリーズのうち、滅んでいた箇所を小佐田定雄氏の脚色で桂九雀さんが復活させたもの。普段は仲よく旅を続ける喜六・清八のコンビが、仲違いするとどうなるか。

三、四〇七号笑呆亭…『本能寺』から
         桂 文太(五代目文枝門下)
 本能寺の変を扱った芝居は『三日太平記』。はじめは大坂道頓堀の竹本座で人形浄瑠璃として上演され、のち歌舞伎化された。現在は上演されていないだけに、この一席はかつての芝居の中身がうかがえて貴重である。

中入り

四、クレイマー・クレイマー
          月亭 遊方(八方門下)
 客側の立場が強くなったのか、昔よりも購入した商品への苦情を言う人が増えたという。明らかな欠陥商品に文句を言うのは正当な権利だが、単なるイチャモンにならないように。

五、花筏       桂 米八(米朝門下)
 播州高砂での相撲巡業が舞台になっているが、現在、お相撲さんの移動に不便はないのだろうか。あの体だと新幹線のグリーンでも狭いように思うが。出羽鳳さんにでも聞いてみたい。


紹介文執筆…中川 桂



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