田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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長月席田辺寄席
第435回
9月15日(土)昼席 午後1時40分開演
〈いちもん会〉


一、兵庫船     桂 ひろば(ざこば門下)

 今月の開口一番は、すべて旅ネタが揃った。『煮売屋』と『大仏の眼』は東の旅、この『兵庫船』は金毘羅さんへ参る西の旅の帰路。

二、皿屋敷     桂 吉坊(初代吉朝門下)

 兵庫の浜からさらに西へ向かうと、須磨、明石、高砂と名所が続く。その先にある城下町・姫路が舞台となる、怪談と滑稽味が実にうまくミックスされた一席。

三、四三五号笑呆亭…『くっしゃみ講釈』から
     桂 文太(五代目文枝門下)
 全盛期には町内に一ヵ所は講釈場があったといわれるが、講釈は落語より一席あたりの時間が長く、落語の席よりも出演者が少なくて済むので開きやすいという事情もあったらしい。この落語で描かれる講釈場も、出演者は後藤一山先生ただ一人の模様である。

中入り

四、太神楽曲芸 豊来家玉之助(ラッキー門下)

今月初めにはブロードウェーでの「ニューヨーク繁昌亭」にも出演。傘や鞠を使い、いかにも日本的で外国人にも大受けの太神楽の登場。

五、千両みかん     桂 南光(南光一門)

 初めて聴く際、演題を知らないほうが楽しめる噺がいくつかあるが、これなどもそんな一席か。出だしは若旦那の患いからで、もし『崇徳院』を先に聴いたことがあれば、なおさら「同じパターンか…」と予想してしまう分、以後の展開が面白く聴ける。季節感が重要な噺。

長月席田辺寄席
第436回
9月15日(土)夜席 午後6時10分開演
〈いちもん会〉


一、煮売屋      桂 二乗(米二門下)

 『東の旅』のごく初めの場面だが、道中の事件というよりも、言葉遊びを主眼とした噺。「汁」のくずし字は、ひらがなの何に見える?

二、胴切り     桂 まん我(文我門下)

 この噺の「非現実性」もすごいが、そんな噺を作り、笑いとして楽しんだ昔の人のセンスも相当なもの。最初の原話は露の五郎兵衛の時代だから、約三百年前。元禄頃の人々は、さすがに様々な文化を生み出しただけのことはある。

三、四三六号笑呆亭…『口入屋』から
         桂 文太(五代目文枝門下)
 女子衆さんは年に二回の出替わり月に入れ替わることが多く、ちょうど現代でも話題の、派遣社員や契約社員にあたる。男の奉公人は丁稚から長期にわたり勤める者が多いが、時間的に自由も利かず、さほど金もない…となれば、楽しみは「社内恋愛」ぐらいだったかも。

中入り

四、あァ吉岡先生教壇に生く
         菊地 まどか(小圓嬢門下)   曲師・沢村さくら
昨年10月以来、二回目の登場。最新の持ちネタ、戦前の女性教師の物語を絶品の声で。

五、はてなの茶碗   桂 米輔(米朝門下)

 昼席の『千両みかん』同様、物の値段は需要と供給の関係で決まる…という経済原則を改めて感じる噺。この茶碗自体は『井戸の茶碗』や『猫の茶碗』よりはるかに安物なのだが…。

長月席田辺寄席
第437回
9月16日(日)昼席 午後1時10分開演
〈いちもん会〉


一、大仏の眼    露の 団姫(団四郎門下)

 『東の旅』のうち奈良名所の一節。現在目にする大仏さんは、ほとんど後世に修復されたものだが、台座の一部などに天平の名残が。

二、昭和任侠伝    桂 春菜(春団治門下)

 春菜さんの父である故・春蝶師匠の作。やくざ映画全盛の時代が舞台だが、春菜さんは現在の感覚も取り入れて終盤を脚色している。

三、四三七号笑呆亭…『宿替え』から
         桂 文太(五代目文枝門下)
 東京では『そこつの釘』の題で演じられるが、時代を問わず慌て者の言動は、笑いのネタにするのに最適なようだ。全編笑いどころも豊富だが、そのためかサゲ前の盛り上がったところで終わってしまうことも多い。本日はサゲまで聴けるのでは?

中入り

四、バナナの叩き売り 旭堂 南北(三代目南陵門下)

今月も各席に落語以外の芸が並んだが、南北さんだけは本業以外の余芸。とはいえ年期は長く舞台経験も多く、その格好からして気合が入っている?入魂の一芸。

五、抜け雀      桂 春若(春団治門下)

 名人の手になる絵画や彫物は命を得て抜け出す、という名画・名工伝説の系譜に位置づけられる噺。これだけ腕のある絵師が、若いとはいえ貧乏してる…というのも落語的な面白さか。たぶん仕事嫌いで寡作なんでしょうな。

紹介文執筆…中川 桂




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