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田辺寄席、演題「怪説」  
   2011年3月
       演芸ライター・上田文世

●第562回 3月19日(土)昼席 午後1時40分開演 
 《新じっくりたっぷりの会―笑福亭喬楽の段》


一、近日息子  笑福亭呂竹(呂鶴門下)
 生前から棺桶を用意している人がいた。京都の尼僧・蓮月(1791〜1875)。米びつとして使っていたが、貧者が死ぬと、その棺桶を与えた。彼女から棺桶をもらった人は多数いたそうだ。

二、上燗屋   笑福亭喬楽 (松喬門下)
 陶器にお湯を入れ、続いて酒を入れたちろりをその中に入れる。それだけで上燗もぬる燗も思いのまま。そんな道具が売っているそうだ。燗の仕方を巡っての熱いやりとりは無くなりますがね。

三、向う付け  笑福亭呂鶴(呂鶴一門)
 無筆=字が書けない=を題材にした噺は多い。しかし、江戸から明治の日本人はそうでもなかったという記録も。幕末に来日の外国人が「日本には文字の書けない人は1人もいない」と記している。

   仲入り

四、幾代餅   桂 文太(五代目文枝門下)
 芝居を見たいがお金がない。それならと芝居噺が誕生。大名道具と言われる花魁と遊びたいがとてもとても。そこで幾代餅の噺が誕生と、庶民の願望からこんな噺が生まれたという説があります。

五、つぼ算   笑福亭喬楽 (松喬門下)
 アメリカの酒場でのこと。タバコを注文した男。それを返してタバコ代と同じ額のブランデーを飲んだ。代金を請求されると「さっきタバコを返した」の返事。「つぼ算」的算用は国際的ですね。


第563回 3月19日(土)夜席 午後6時10分開演
 《新じっくりたっぷりの会―林家花丸の段》


一、兵庫船    林家染吉(染丸門下)
 フカ=サメが、今最も恐れる地が宮城県の気仙沼(けせんぬま)。サメの9割はここに水揚げされ、皮も肉も生殖器まで加工し尽くされる。その地が地震で大被害。サメさえも心傷めているだろう。

二、宗論     林家花丸(染丸門下)
 東京でこの噺を得意にした古今亭志ん上(昭和13年没)は、無類の酒好きだった。せっかく真打になったのに酒が飲みたくて自ら志願し、固定給がある前座に戻ったという。

三、居残り佐平次  桂 文太(五代目文枝門下)
 東京ではことに多くの噺家が、今もよく高座にかける。元々の噺のオチが分かりにくくなっているので、各演者がいろいろと工夫を加えている。大阪に移して語る文太さんの場合は、さて…

   仲入り

四、天災     林家染弥(染丸門下)
 噺の中に出てくる「気に入らぬ風もあろうに柳かな」は、江戸時代後期の禅僧仙香iせんがい)の作です。諸国行脚の後、晩年は博多に住み、禅画を通して教えを説き、大勢から慕われました。

五、千両みかん  林家花丸(染丸門下)
 石油1バレルが百jを突破するのも、みかん1つが千両になるのも、それだけの需要があるから。経済の原則です。カミさんから大事にされようと思うなら、それだけの貢献が必要ということです。


●第564回 3月20日(日)昼席 午後1時10分開演
  《新・じっくりたっぷりの会―笑福亭純瓶の段》


一、大安売り  笑福亭松伍(松枝門下)
 力の無い力士はかわいそう。ことに相撲の世界では。でも、この部屋の親方は心優しい。弱い力士にを見守って、能力に応じた働き場所を見つけてくれる。効率ばかり要求する社長よ、見習え!

二、平の陰   笑福亭純瓶(鶴瓶門下)
 字の読めない人はかわいそう。字が読めそうに見える人、それはもっとかわいそう。繕うことの難しさ。酒が飲めないのに「飲め」「飲め」と強要されるのと同じ、いやそれ以上です。

三、植木屋娘  桂 文太(五代目文枝門下)
 字の読める人はうれしそう。ちょちょっと仕事をしただけで、お酒、お料理にありつけて、さらには、娘さんまでいただけそう。いーえまだまだ。大身代まで転がり込んできそうです。

   仲入り

四、荒大名の茶の湯  笑福亭学光(鶴光一門)
 荒大名の1人、加藤清正は幼名を虎之助。6尺(180a)を超す身長で、そのうえ烏帽子型の兜をかぶり、特大の馬にまたがって行軍した。容貌も武功も抜群。荒大名ちゅうの荒大名でした。

五、鹿政談   笑福亭純瓶(鶴瓶門下)
 六兵衛さんの割り木に当たって死んだ鹿は、おからを食べにきていた。最近、奈良公園の鹿には、鉄の鎖、柵などをかじるのがいるそうだ。その理由は? 今のところ「しかとは分からぬ」のだ。




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