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田辺寄席、演題「怪説」  
   2011年4月
       演芸ライター・上田文世

●第565回 4月16日(土)昼席  《新・じっくりたっぷりの会―桂三扇の段》

一、十 徳     桂三幸(三枝門下)
 威徳、遺徳、懿徳、陰徳、有徳、恩徳、学徳、旧徳、至徳、神徳などと、人の行いを示す徳業は、十だけでは留まりません。しかし、この噺の十徳は「衣」の一種です。念のため。

二、僕たちヒロウキッズ(桂三枝作) 桂三扇(三枝門下)
 じっくりたっぷりで登場の三扇さんは福知山の出身。1992年入門のママさん落語家です。古典はもちろん、師匠直伝の創作落語を、三扇さん独自の味付けで演じます。田辺寄席へ、いざ参戦!

三、悋気の独楽   桂枝女太(五代目文枝門下)
 本妻と妾が仲良う同居。男は喜んでいたが、ある日二人が手を携え、無断で家出。八方探したが見つからず捜索願いを出した。明治30年の新聞記事にある。悋気してくれた方がよかったのかな。

   仲入り

四、延陽伯  桂文太(五代目文枝門下)
 「西宮(さいぐう)に人(にん)を遣わす。大風(たいふう)吹いて新魚無なり…」の意は「西宮に人をやって魚を求めたが大風で手に入らない」です。これをヒントに『延陽伯』が出来たとか。

五、鯛(桂三枝作) 桂三扇(三枝門下)
 入門して3年間は修業の身の上。師匠の三枝さんに付いて、テレビ局や落語会会場へと動き回りました。華奢な体で運転手役もこなしました。その期間に習い覚えた一つが『鯛』。乞う、ご期たい!

●第566回 4月16日(土)夜席  《新・じっくりたっぷりの会―桂あさ吉の段》

一、代 脈     桂鯛蔵(塩鯛門下)
 内臓手術後に放屁(おなら)が有れば手術成功の証し。昔、ある高貴の御仁の手術があった時、その成功を願ってジャズの名曲『世界は日の出(屁の出)を待ったいる』が演奏されたという。

二、七段目     桂あさ吉(初代吉朝門下)
 じっくりたっぷりのあさ吉さんは、漫才好きが、米朝師匠を知って落語に転身。1993年の入門です。英語落語も達者。「飲みに行こか」と誘ったら「NO・MONEY(飲まねぇ)」の返答でした。

三、貧乏花見    桂千朝(米朝門下)
 貧乏花見で長屋の住人が行く花見の場所は、もちろん桜の宮だ。明治期に作られた落語によると、そのほかの桜の名所・行楽地として、聖天山の桜、鶴満寺や隆専寺のしだれ桜も挙げられています。

   仲入り

四、親子茶屋    桂文太(五代目文枝門下)
 原話は江戸期の小咄。ある男、吉原に行く。親父に似た人が前を歩く。付けていくと男が振り返り親父と分かる、といった内容だ。そこで親父が息子に言うセリフは、この落語と全く同じである。

五、抜け雀     桂あさ吉(初代吉朝門下)
 絵によく描かれる雀、その数が減っている。立教大研究員の調査では全国で推定1800万羽、50年前と比べて9割減という。日本列島に止まり木が少なく、抜け出たままになってしまったのか。
  
●第567回 4月17日(日)昼席  《新・じっくりたっぷりの会―笑福亭瓶太の段》

一、花色木綿    笑福亭智六(仁智門下)
 「十二月十二日(十二月二十五日)」と半紙に書き、逆さまにして玄関に貼ると泥棒除けになるそうだ。日付は石川五右衛門の命日。逆さに貼るのは、泥棒は上から侵入するので読みやすいから。

二、野ざらし    笑福亭瓶太(鶴瓶門下)
 じっくりたっぷりの瓶太さんは、1988年の入門。タレント志向が落語会を手伝ううち、落語に魅了された。「びんた」は鹿児島弁では「頭」の意。落語界のかしら(頭)を目指せ!

三、火焔太鼓    桂文太(五代目文枝門下)
 古今亭志ん生の十八番。元来は軽い噺であったそうな。志ん生がそれを、全編くすぐりの連続である面白い噺に仕立てあげた。「くすぐりを取ると噺が無くなっちゃう」とは本人の弁。

   仲入り

四、へっつい盗人  笑福亭伯枝(六代目松鶴門下)
 ジャジャージャー、カラコロカラコロカラッ、ドンガラガッチャ、ブップウなどの語が、この噺ではわんさか出てきます。これらは擬声語、擬態語と言いまして、日本語の特徴の一つでもあります。

五、鴻池の犬    笑福亭瓶太(鶴瓶門下)
 丁稚をしかりながらも捨て犬を買うのを認める商家の主。運と不運は紙一重。そんな中で再会した兄弟犬に通い合う情愛。やさしさがいっぱい詰まっていて、瓶太さんナンバーワンのお奨め噺です。




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